ヒト故に、

佐々木は佐々木で在り、ヒトでは無い。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

夜にくつろぐ。

紅茶を飲み、ピアノの音源を聴きながら、日記をつける。 同居人のナイトルーティンは出来上がりつつあった。 ある時リラックス出来るものを探せ、と助言を受けてからというものの同居人は様々なものを試した。 アロマオイル。否、違う。眠気を誘う香りはあれ…

未来を恐れる。

「フラワーアレンジメントの教室、お試しで良いから行ってみないかな。」 同居人は心の病気だ。 外出を避ける。 「人は多くないし、時間も短いよ。それに人と人とのお喋りは少なくて、席もバラバラ。皆黙々と自分のことに集中して、作業をしているよ。行って…

日記をつける。

時は遡り、三ヶ月前の出来事。 「嬉しいこと日記をつけてみない?」 そう提案された。 以前数年もののそこそこ良い日記帳を購入し、意気込みながら付け始めたは良いものの、そう長くは続かなかった。 その経験があってからか同居人は「日記は自分に不向き。…

メールを贈る。

ある満月の夜。 同居人は決意を固めていた。 何でもずっと連絡を取りたかった、が、罪悪感から自分からは取れずにいた存在が居る、と。それも自らの連絡先は教えておらず、一方的に知っている状態である為、己が動くしか方法は無いのだと。 同居人は絵を描く…

家出を夢見る。

人間には馬が合う、合わないという難しい脳のシステムがある。 その人間が何か行動を取ればその全てが気に食わない。発言全てが引っかかる。 勿論この文言に共感しない人間も居ると思われるが、少なくとも同居人はそう云うタイプの人種だ。 我が家は同居人と…

医者と戦う。続

「採血を取ります。」 医者は突然、当たり前のように告げた。 これは昨日の続きの物語である。 何でも九月以降、その病院での採血はしていなかった為同居人の血液検査の結果を様子見たいとのことであった。 「丁度数日後に健康診断があるのですが、その結果…

医者と戦う。

「億劫だ。」 そう同居人が呟くは、本日の予定に病院が入っているからで。 医者との相性が余程悪いのか、同居人はその通院を幾度も怖がる。何でも怒鳴られるから、と怯えているが帰宅早々に矢張り同じことがあったらしいと震えて話し始めた。 何でも医者との…

ヘルプマークを身につける。

友人の少ない同居人。 本日は久しぶりに外へ出たようだった。それも数少ない心を許している友人と落ち合うという素敵な目的付きで。 祝日。 木曜日の休みに安心していたのだろう。 同居人は珍しくも楽しそうに、そして行く先々に待ち受ける電車や人混みの不…

自己理解に挑む。

同居人は「自分で自分が判らない」と主張した。 仮面を被って、脱いで、変えてを繰り返した結果、本当の自分自身を見失ってしまったのだ。 それは佐々木にも見て判ることである。 悩みに悩んでいた結果、相談をした。周りの人間に頼った。藁にもすがる思いで…

泣いて笑う。続

カウンセリングを得た後は少しだけ心が落ち着く同居人。その効果も日が経つにつれ、落ちていくことも多々あるのだが、今回はそうならないことを願っておこう。 さて先日、栗のお菓子を貰ったらしい。 どうやら同居人はそれを大層気に入ったらしく購入しよう…

気を遣わない。

人に気を遣わない生活する。 最近の同居人の目標だ。 件のカウンセラーから習ったようで、早速行動へ移してみているそう。流石に直ぐには上手くいかないようで、また頭を抱える姿が目に入る。 何でもこの時期ならでは、忘年会なるものへ招待されたらしい。 …

憧れる。

「憧れの人が出来たのだ。」 帰ってくるなり、回口一番に話した同居人。 夢が出来ること、やりたいことが沢山積もることはきっと悪いことでは無い。同居人が前を向けている証拠だ。 けれどもこの同居人。直ぐに他人に影響される。 ひとつ映画を観ればその主…

自己洗脳を試みる。

同居人が誰かから聞いてきたらしい。 「人間の脳みそは、お馬鹿らしい。」 異論は無い。 けれど悪口を積極的に言う同居人は珍しかった。 「人間の脳みそはお馬鹿だから、何度も何度も言っていると騙されるのだ。」 何でもメディアに出ているような有名評論家…

形が在る。

人間には容姿という気難しいシステムがある。 それは人間を輝かせ昇華させることもあれば、 比較対象とされ苦しめられることもある。 結局、容姿が悪いのではなく、周りと自分を比較する人間自身が悪なのかもしれない、と考えることもあるが。 容姿など所詮…

泣いて笑う。

話したいこと、誰かに聞いて欲しいことがあるのであればいのちの電話にかけると良い、と。 ところがどこへかけても「ただいま混みあっています。」の繰り返し。 同居人は人生に疲れ果ててしまった。 病上、息も苦しくなってきてしまい、泣きそうになってしま…

再会する。

ある薬を頂戴する為、いつもとは別の医療機関へ向かった同居人。 驚愕したらしい。 扉を開けて、靴を脱ぎ、受付へ向かう。 目に入ったのはある一人の人間だった。 同居人を小学生時代に苦しめたいじめっこ。 初めは判らなかった、と云う。 それはそれは美し…

AIと会話する。

同居人は心の病気だ。 この日も例外ではなく人間に振り回されていた。 午前中は楽しく過ごし、ツナサンドと紅茶を頂戴して、午後に差し掛かり数時間後。突如としてソレは襲ってきたらしい。 特に何も考えていなかった。 頭には何も無かった。 しかし、涙が頬…

温かさに触れる。

今にも泣きそうな暗い顔で歩いた。 遠い場所へ行きたい。 夜の星と、海を見て、 温かいココアを飲みながら、座って、ぼぅっと、何も考えず。 同居人は涙を溜めて暗い顔で街を歩いた。 雑貨屋の店員が呼び止める。 「お菓子をあげる。今そういうキャンペーン…

幸せに恐怖を感じる。

同居人は唱える。 「この世には幸福量保存の法則が働いていると考えているのだ。」 さも学者のように、真剣な顔をして。 勿論かの質量保存の法則に準えている。同居人なりの造語に過ぎない。 小さな不幸が在れば、小さな幸せが訪れる。 大きな不幸が在れば、…

食事を取る。

同居人がもんじゃ焼き成る物を食べたらしい。 「美味しい。美味しい。」と、 時々ハフハフと熱そうにしながらも、とても嬉しそうに頬張った。 それもそうだ。 最近まともにご飯を食べている姿を見ては居なかった。 本来の同居人は人一倍食べては、学習せず後…

本を読む。

読書を好む人間は多い。 ところがこの同居人、本を読むことが苦手だ。 人間という存在は得意なことより不得意なものの方が多いだろう。その不得意である様に深く反論する要素は無い。 けれども名の知れた本に、同居人は珍しくも興味を示したことが在ったらし…

揺れ動く。

「苦しくても、喋る方が良いらしいよ。」 同居人がそう言われたらしい。 「愚痴を吐き出した方が良いよ。楽になれる。」 同居人は心の病気だ。 息苦しく話したくても話すことが出来ない現状。それを知らない周りの人間は、気を遣いそう助言したらしい。 自ら…

拠り所を欲しがる。

同居人は心の病気だ。 今日も今日とて、床に伏せたまま動かない。 心も身体もてんで言うことを聞かない。 そもそも脳が拒否しているのか、意の無い涙は止まらない。 ところがテレビにおいて、好きな芸能人が出ていたらしい。 同居人は起き上がり、その画面を…

写真を撮る。

人間は写真を撮りたがる。 同居人は、連日にも増して景色や植物、動物等を始めとした人間以外の被写体を映すことが増えた。 元より人間が嫌いなことも関わっているのであろう。 しかし、最近は楽しそうに撮るもので何処かに投稿でもしてるのか、と疑問を持っ…

伝えていない。

陽の落ちる刻も早くなった冬の日。 同居人にとって、とても似ている存在が現れた。 性別、身長、髪型。つまりは姿、形などは何もかもが事なる。 早い話、性格、だ。 何もただネット上で話しを続け、肉声の会話は数回だけとのこと。 遠い場に住む名もしれぬ存…

比較する。

人間は写真を撮りたがる。 それは同居人にも言えることだ。 何か残したい景色が在れば、直ぐに写真を撮り、佐々木に嬉しそうに見せてくる。 ところが同居人は、絶対に自分自身を映さない。映りたがらない。 家の中でさえもレンズを外に向ける。 聞けば「醜い…

主張する。

立場を逆にして考える時が在るのだ。 同居人は、自らが被害者である、と主張する。 被害を受けたという点においてそこに間違いは無いのであろう。 ところが逆はどうだ? 同居人を苦しめた彼女。 同居人が加害者だと信じて疑わない彼女。 彼女にも何か理由が…

記憶に残る。

同居人が勇気を出して、街へ行った。 人間には記憶が在る。 厄介な事にそれは消したくても簡単に消えるものでは無いらしい。 今もかつてに関わった人間を見かけただけ、世にいうフラッシュバックというのだろうか、同居人は身体の震えが止まらなくなると云う…

人間を恐れる。

同居人は、外へ出ることが出来ない。 「出たくない」が正しくも感じる。 外へ出ると沢山の人間が居る。 ゾロゾロと蠢く。 目はぎょろぎょろと、足は軍隊のように。 街は過剰に彩られている。 ガンガンと響く。 光はぎらぎらと、音は銃声のように。 同居人は…

生きている。

同居人は病気だ。 それも心の病だという。 人間は心を持っているから厄介だ。 その場の感情や、同居人以外の人間つまりは周囲の環境など様々な要因によって、状態が左右される。 むしろ心を持たされているのでは、とさえ思う。 重い枷だ。 同居人は働く。 金…