周りの目を気にする。
師走。
一日は短く思うようで長く感じて、一週間は長く思うようで短く感じて、一ヶ月は沢山日付が在るようであっという間。一年は物凄く遠くへ見えるにも関わらず直ぐに過ぎ去る。
それもこれも、あくまでも主観に過ぎないのだが。
一方同居人は、美容院へ出かけた。
「本心に従うんだ。今、髪の色を変えたくなったの。自分の好きな色にするから。」
残り少なくなった2023年。
同居人による自分から自分へのご褒美だ。
一年間、生きることが出来たから。
外に出るのが怖くて、動きたくても動けなくて。最後に美容院へ行った日から可成の期間が経っていた。
突然思い立ったらしく、云うなりすぐさま行動へ移した。上げられなかった重い腰。少しながら同居人の成長を感じられる。
音符が付くほど嬉しそうに帰ってきて、見せびらかすようにクルクルと回って。
ところが問題はその後だった。
「これ、周りからどう思われるだろう。」
調子に乗っていると思うだろうか。イメチェンして何か心境の変化でもライブイベントでもあったと考えられるだろうか。派手にしたと怒られるだろうか。目立つだろうか。
瞬間恐怖が襲ったらしい。
人間は何故周りの目ばかりを気にするのだろうか。目を気にしないで生きる、と頭では決めても心は着いてこない。行動は急遽変えられない。
同居人が本当の意味で自由になる日は一体いつになるのであろうか。
佐々木には判らない。